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英語の曖昧さ

 もし会話の内容に誤解が生じたとして、英米人はその原因を話者に求める。よくある対比だが、日本人は曖昧ににものを言い、英米人ははっきりとものを言うらしい。だが、言語の特性から言って日本語の方がはるかに詳細に物事を語ることができる。

 例えば人称の問題である。日本語の一人称には「私、僕、俺、わし、拙者」など多種多様であるが、英語には「I」しか存在しない(古英語までさかのぼればあるかもしれないが)。二人称に至っては単複同形で「you」しか存在しない。正直これはかなり致命的な問題だと思う。初めから単複同形だったのかといわれるとそういうわけではなく、単数形として「thou(汝)」という単語が存在した。消え去った理由としていくつかの説があるが、もっとも一般的なものとして、一人を指し示すのは失礼に当たるというフランス語の流行に飲まれたというものがある。私自身英語でプレゼンをするとき、youという単語を用いるのに苦慮した経験がある。そこでTEDなどをみていると代替として指さしてyouと発する場合がある。こちらの方がよほど失礼だと思うのだが…

 他に例を挙げるならひとつの言葉が持つ多義性であろうか。例えば「have」という単語をみてみる。中学英語的には対訳として「持つ」があてられるがこれば少し不正確である。「have」とは「近くにある」が原義である。なので「have」のみで「持つ、飼う、食べる、(感情を)抱く」などがある。食べるという意味でhaveが現在形にならないのはこういうからくりがあるのだ。この「have」の例からも英語がいかに曖昧かがお分かりいただけると思う。

 このように少なくとも日本語と比較してみるといかに英語が曖昧なものなのかが浮き彫りになる。冒頭に述べたように英米人は分かりやすい物言いを好み、誤解の原因は話者に帰する。気質と言語。この対比はなかなかおもしろいと思うがいかがだろうか。